毎日新聞 人気土産の「ゴボチ」 サクサク食感 口コミで広がり


宮崎土産として人気のゴボウチップス「ゴボチ」。土産の定番としてすっかり定着し、空の玄関口・宮崎空港ビルの売店では2011年秋の発売以来、売れ行きは常にトップクラスという。
 製造・販売しているのは宮崎市の「デイリーマーム」(和田優社長)で、商品開発のきっかけは2010年3月に家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)が発生したことだという。同社は弁当の製造・販売を手掛けており、イベントやスポーツ大会などでの売り上げが収入の大きな柱だった。だが、口蹄疫の発生でイベントの自粛が相次ぎ、売り上げが半減していた。
他に収入の柱をと思案した末に和田社長(65)の脳裏に浮かんだのがゴボウチップスだったという。宮崎のゴボウの生産量は17年度全国4位(9900トン)。店頭販売で総菜として売っていた商品で地元紙に取り上げられて女性を中心に口コミで人気が広がっていた。総菜の消費期限は2日だったが、長期間保存できるように加工できれば勝算はあると見込んだ。
 すぐに宮崎県食品開発センターに持ちかけ、10年11月から共同開発に着手した。保存期間の延長と、食味をよくするために品種やカット方法、味付けなども試行錯誤を重ねた。同時に全国13社のライバル商品も調査。原料はほとんどが中国、台湾産で、添加物を使っていた。差別化を図るため「宮崎産ゴボウを中心に国産原料を使用し、添加物は使わないことにした」という。
11年11月に販売にこぎ着けると、2年間で50万袋を売るヒット商品になった。昨年5月までの累計販売は500万袋に上る。リピーターも多く、宮崎空港ビル売店のネットショップでは売り上げ1位が続く。サクサクとした食感、手ごろな値段、健康志向が人気を呼んだらしい。売店関係者は「発売と同時に爆発的に売れ、レギュラー商品として定着している」と話す。「県との共同開発が営業の上で信頼を得るのにも大きく貢献した」と言い、東京の高級スーパーや航空会社の売店・機内販売から次々と引き合いがきた。菓子としてだけではなく、ゴボウ天代わりにうどんに入れたり、サラダのトッピングに使われたりと用途も広がりをみせ、昨年度は150万袋を製造した。
 ピンチをチャンスに変えてヒット商品を生み出した和田社長は「差別化を図ることでオンリーワンの商品になった」と力を込める。食をテーマにした15年のミラノ万博に出品した際に好評だったため、今後は米国、中国、台湾なども本格的に売り出す予定だ。【斎藤毅】

Back Number »